パソコンでなにかわからないことがあるとすぐ若い社員に聞く社長っていませんか?
そんな社長がなぜやばいのか私なりに思うところを書きたいと思います。
一番の問題はパソコンについて勉強しようともしないこと
会社に一台もパソコンが無い会社って今どきあるのでしょうか。
もはやメールを使ってない会社はないのではないでしょうか。
ホームページを持ってない会社も少ないのではないでしょうか。
なかにはパソコンを一台も使っていない会社もあるかもしれませんが、それなら逆にパソコンに関するトラブルなどはないのでいいのですが、何台かでもある場合はパソコンについてある程度の知識は必要だと思います。
私もめちゃくちゃパソコンに詳しいわけでもプログラミングが出来るわけでもありませんが、自作パソコンに興味があり何台か組んだ経験くらいはあります。
まがりなりにもエンジニアという仕事(パソコン関係ではない)をしている性分上、イクイップメント(機材)にはこだわりたいと思ってしまうのと、仕組みを知りたいと思ってしまうので、自作パソコンなんかはただケーブルをつなぐだけなのに、「なんかマニアックなことしてる」感があり、かつパソコンの各パーツのことにも詳しくなれるのでおススメの趣味ではあります。(※自作パソコンは基本的にWindowsの話になります)
「経営者に自作パソコンなんかオタクな趣味をやっている時間は無い!」という声が聞こえてきそうですが、今や何をするにもなくてはならないパソコンについて、あまりにも知らないのは“罪”と言ってもいいのではないでしょうか。
たかがパソコン、されどパソコンです。
自分が使う武器について詳しくない兵士はどうなるでしょうか?
自分が使う武器の構造も理解していない、メンテナンスもできない、弱点も知らないで戦場で戦えるでしょうか?
自分の部下に、使い物にならない武器を渡して「これで戦ってこい!」と言えるでしょうか?
現代人の武器であるパソコンについてちょっと書いていきたいと思います。
自作パソコンでいえば、例えばCPUだけハイスペックなものにしてもメモリが4GBしかなかったり、ハードディスクしか使っていなかったらハイスペックで快適なパソコンにはなりません。そのCPUは宝の持ち腐れ状態になってしまいます。逆にそこそこのCPUでもメモリが16GBあったりSSDを使ったりすると、だいぶ快適になったりします。ではSSDが早いからってなんでもかんでもSSDにしたところで、あまりにも古いパソコンにSSDを導入してもOSの対応やマザーボード・BIOSの問題などでSSDのパフォーマンスは生かせなかったりします。
また、熱問題などもあります。ハイスペックなパーツはそれだけ熱を発します。その熱を逃がしてあげる冷却システム、吸気・排気も考えてあげないと、熱が逃げないためにオーバーヒートしてしまい本来の性能が発揮できなかったりします。
要は“バランス”ということです。
無限にあるPCパーツの中から限られた予算の中で最もパフォーマンスのよい組み合わせを考える。
これってどんな世界にも当てはまることですよね。
なにか一つだけ飛びぬけて良くてもほかがボトルネックになって全然結果が良くない、なんてよく聞く話です。
企業も自作パソコンも総合力が大事です。
こじつけ感がなくもないですが、個人的にはとても腑に落ちる例えです。
経営者の方々には是非自作パソコンを作ってもらって、無限にあるPCパーツの中から適材適所のパーツ選定をしてもらい、中にはパーツ同士の相性問題などもありますので、そういった相性問題も解決しながら、排熱のことも考え、限られた予算内で一番目的に合った組み合わせを見つけ出す、という作業をやっていただきたいと思います。そして納得のパーツ選定の末組み上がったパソコンをいざ起動してみると、、、ちゃんと起動しなかったり、想定通りのスペックがでなかったり、逆にオーバースペックで1ランク下のパーツでも良かったかな?と考えたり。
熱の問題も排熱がうまくいかないと高熱で頭がボーっとしているのと同じ状態なので、しっかり冷やしてあげるように高性能なクーラーにするとか。
パソコンが人間の集団のように見えてきましたか?
たんなる工業製品ではなく、実は人間そっくりな存在として感じていただければパソコンの見かたも少しはかわってくるのではないでしょうか。
では、前置きが長くなりましたが本題に入っていきたいと思います。
安さは正義?
パソコンに限らずモノの値段ってピンキリだったりします。
10万円以下のヴァイオリンもあれば1000万円以上のヴァイオリンもあります。
100万円以下の自動車もあれば3000万円以上の自動車もあります。
2000万円以下のマンションもあれば2億円以上のマンションもあります。
それぞれなんとなく値段の差はわかりますよね。
ヴァイオリンだったら木の材質や作られた年代、作った工房・職人による違いだったり、
自動車なら排気量や内装の豪華さ、ブランド力による違いだったり、
マンションだったらほとんど立地による違いだと思いますが、そういったことで値段に差がついたりするのは理解しやすいと思います。
では、パソコンはどうでしょうか?
3万円のパソコンと8万円のパソコンと15万円のパソコンと30万円のパソコンの違いをパッとすぐ思いつくでしょうか?
どのパソコンでもメールは出来るでしょう、ウェブ閲覧も出来るでしょう、エクセルもワードもパワーポイントも動くでしょう。
じゃあ、経営者の方が事務所に10台パソコンを導入するとしたらいくらのパソコンを買うでしょうか?
パソコンにあまり詳しくない経営者の方ならおそらく3万円のパソコンではないでしょうか。
なぜらな、それでメールもエクセルもできるのですから。
ここでパソコンの値段の違いについて考えてみたいと思います。
パソコンの値段の違いは簡単に言えば“速さ”です。
(ノートパソコンの場合は軽さや丈夫さ、バッテリーの持ちなどの要素も絡んできますのでそう簡単ではないですが。)
パソコンが起動するまでの時間、メールソフトが起動するまでの時間、ホームページが表示されるまでの時間、エクセルファイルを開くまでの時間、フォルダを開いたり閉じたりする時間などなど、パソコンを使う上でいろいろな操作をすると思うのですが、その一つひとつの操作の度に画面上にクルクル回るマークが表示され2秒待たされたり、5秒待たされたり、10秒くらい待たされたり、それが何十回、何百回と積み重なっていくのです。
10秒待たされるのが120回あったら1200秒です。つまり20分です。大したことないと思われるかもしれませんが、パソコンに向かって何かしようとするたびにクルクル回るのがあらわれて作業を中断させられるのはかなりのストレスです。調べ物をしたり資料を作ったりしている時に頭に浮かんだアイデアをすぐに形にしたいものです。パソコンには手足のごとく自分の思い通りに動いて欲しいものですが、それが5秒であっても意味なく待たされて思考を中断させられるのは、個人的にはとても効率の悪いことだと思います。
数年前の話ですが、当時私に支給されたパソコンは、OSはWindows7(32ビット)、CPUはCore i3、メモリ2GB、ハードディスクという構成でした。この構成では現代(2019年)のウェブ閲覧さえままならない状態でした。
総務のパソコンの購入担当者(パソコンに詳しいわけではない)は「core i3だから早いよ」と自慢げに言ってきました。celeronじゃないよ、という意味だったみたいですが、そのパソコンはウェブブラウザのタブを切り替えるたびに1分以上待たされることがしばしば。メールソフトも立ち上がるまでに数分かかりました。
(メモリが2Gで、しかもハードディスクだとこうなってしまいます。)
とても待っていられないので急ぎの時は自分のiPhoneでメールもウェブ閲覧もしていました。
iPhoneの方がよっぽどサクサク動くので支給されたパソコンはだんだん使わなくなりました。
パソコンの購入担当者曰く、「社長から『事務で使うパソコンなんか安いんでいいんだよ』と言われてこれを買った」とのこと。
確かにCGをやるわけでもCADをやるわけでも映像編集をするわけでもない、ただの事務でしか使わないパソコンではあります、が、電源を入れてからメールを打てるようになるまで10分以上、その後もなにかのアクションをするたびにカーソルがクルクルまわって数十秒から数分待たされる。漢字の変換でさえ数秒待たされます。
iPhoneの方がよっぽど快適。
これでいいのでしょうか?
こんな時代遅れな武器では戦いになりません。
快適なパソコンを知っているから余計にイラつくのかもしれませんが、これではホント仕事になりません。
この待たされている数秒、数十秒はほかに何もすることができず、ただ待つだけの時間です。あらかじめ10分待たされるとわかっていればほかに何かすることもできますが、連続した作業の中で数秒待たされることが何度も何度もある。これは精神衛生上とても良くないと思います。
その後どうしたかといいますと、こっそりメモリを買ってきて勝手に増設しました。といっても32ビット機なので2GB増設して4GBにすることしか出来ないのですが、これだけでもだいぶサクっと動くようになりました。SSDにする手もありましたが、これ以上お金をかけるのもバカらしかったのでそれはやりませんでした。
だいぶサクッと動くようになったとはいえ、モッサリしていることに変わりはありません。
最終的には自分でソコソコのスペックのノートパソコンを買い、会社ではそれをメインに使っています。
(Core i5、メモリ8GB、SSD。最近メモリを16GBにしたいと考えています)
中小企業のパソコン事情はこんなところではないでしょうか。
もちろんそうじゃない会社もたくさんあるでしょうが、私の知っている範囲ではこのようなケース(会社のパソコンが遅すぎるのでミドルスペックもしくはハイスペックの私物ノートパソコンで仕事をしている)の中小企業はけっこうあります。
経営者としてはむだな設備投資はしたくないというのは当たり前に考えることだと思います。なので同じ機能であれば安い方を選択するのももちろんわかります。
そして、稟議を出す側も3万円のパソコンと8万円のパソコンでできることは同じ場合、ただ数分早く動作できるというだけで倍以上の金額の機種を説得するのはなかなか大変だと思います。8万円だすなら3万円のパソコンを2台買ってもお釣りがきます。なので理解のない経営者に快適な動作のパソコンを買ってもらうのは至難の業と言わざるを得ません。
これは時間をかけて折に触れパソコンが遅いと待ち時間が増えて作業効率が悪いということを根気強く社長に言っていくしかありません。
なかなか買ってもらえないようであれば私物の早いパソコンでサクサク仕事をして転職を考えた方がいいかもしれません。
若手社員=システム担当ではありません
大手企業などでちゃんとシステム管理者などがいる場合や、社長のITリテラシーが高い場合は別ですが、社員10人以下などの中小零細企業では、パソコンまわりは若手社員が(なぜか)担当するというケースが多いのではないでしょうか。
- メールが送れない
- プリントアウトができない・プリンターが使えない
- (作成中の)データが消えた
- どこに保存したかわからなくなった
- 添付ファイルが開けない
- 社内ネットワークにつながらない
- インターネットにつながらない
- パソコンが遅い
- パソコンが起動しない
- エラーが出たけどどうにかして
などなど、、、ハード的な問題もソフト的な問題も、、、少しは自分で解決しようと思わないのでしょうか?
私も中小企業に長くいた経験から、若い頃はこういったパソコンまわりのトラブルをよく対処させられました。
でも【若い人=パソコンに詳しい】という図式もスマホ全盛の昨今では成り立たないというのもよく聞きますし、仮に自称パソコンに詳しいという輩もなかなか怪しいものです。
以前、社内の会話で60過ぎの長老が新入社員のA君にパソコンのことをいろいろ聞いていた際にハードディスクの話になり、以下のような会話がありました。
A君、キミが一番信頼しているハードディスクメーカーはどこ?
そうですね~、 アイ・オー・データですかねぇ。
アイ・オー・データはハードディスクメーカーじゃねーだろ!
近くでこの会話を聞いていた私はひっくり返りそうになりました。
そして、“自称パソコンに詳しい”人も信用できなくなりました。
(ハードディスクメーカーは世界で3社しかありません。WD、Seagate、東芝)
でも、こういう“自称パソコンに詳しい”若い人にパソコンまわりの設定をやらせる中小企業は多いのではないでしょうか。
設定をすべて任せているということは社長のパソコンの中身もメールの中身も全てそのA君に見られてるということです。そしてその内容は社員間ではすぐに共有されます。
見られているのを承知の上で、別にそれでなにも業務に支障が出ていなければいいのでしょうが、どうもそのことをよくわかってない社長がいるように見受けられます。
つまり社員には見られたくないであろうプライベートな内容のメールのやり取りや、社員に内緒で行くゴルフの予約のメールなど、全部見られているとわかっていたら会社のメールアドレスを使わないと思うのですが、気にしている様子もありません。
見られているのをわかっていてそういうメールのやり取りをしているなら社長の方が一枚上手かもしれません。
ですが今まで何社か中小企業で働いてきましたがどの社長も99%わかってないと思います。
社長:「明日は終日、外で打ち合わせなので会社には来ないから」
社員:「はい、承知しました。(打ち合わせってゴルフだろ!)」
中小企業のメール事情はこんなところではないでしょうか。
まぁ、それでもいいというなら何も言うことはありませんが、社長がバレバレのウソをつき続けていたりしたら社長の人望はどんどん低下していくでしょう。
こういうセコイ話はともかく、重要な仕事のメールも社内のファイル共有システムなんかも全部新人のA君しか把握していない状況というのは由々しき事態だと思うのですが、いかがでしょうか。
パソコンに詳しい中年のおじさんがいるケースも多いと思いますが、そのおじさんがもともとはファイル共有システムなんかを作ったり、パスワードの管理なんかをやっていたりしていても、辞めちゃったりするのは中小企業ではよくある話です。その後任に白羽の矢が立つのがだいたいちょっとパソコンに詳しい若手社員だったります。
こうして、モラルの低いIT担当に引き継がれ経営上の秘密や、社長や役員達のズルが白日の下にさらされることとなるのです。
それでも構わないという社長さんは現状のままでもいいかもしれませんが、多少パソコンのことを勉強する気になった社長さんは今からでも遅くはないので勉強を始めた方がいいと思います。
ただし、A君に教えてもらってはダメです。大事な部分は教えてくれません。
ですから自分で勉強するしかありません。
一番勉強になるのは自作パソコンです。ハードウェアがなんとなくでもわかればソフトウェアのことも勉強する気になると思います。
すっかり“自作パソコンのススメ”みたいな話になってしまいましたが、パソコンのスペックや金額について考えるキッカケになればと思います。
快適なパソコンの目安は10万円
最後に、快適なパソコンの値段についてですが、一つの目安として10万円というのがあると思います(デスクトップの場合、モニタ含まず。ノートパソコンの場合は15万円)。
10万円の内訳はこんな感じです↓
- CPU(core i5) 2万円
- マザーボード 1.2万円
- メモリ(16GB) 1万円
- SSD(1TB) 1.5万円
- 電源 1万円
- PCケース 0.7万円
- CPUクーラー 0.5万円
- OS(Windows10 Home) 1.6万円
- キーボード、マウス 0.5万円
高いと思われたかもしれませんが、ストレスなくサクサク動くとなるとこれくらいになると思います。
〈ストレスなく〉とは速さだけではなく、保存容量も十分にありすぐにいっぱいになって保存できないということがなかったり、故障しずらい(安価なパーツを使ってない、主に電源部など)部品を使っている、なども含みます。
あくまでCGやCAD、映像編集などはせず、また本格的なPCゲームなどもせず、エクセルやパワーポイントなどでの書類作成やWeb閲覧用のパソコン場合です。少々オーバースペックかもしれませんが、ブラウザのタブをいくつ開いてもサクサク動きます。簡単な画像編集や簡単なゲームも動きます。
逆にいうと、繰り返しになりますが、3万円くらいのデスクトップパソコンや、5万円くらいのノートパソコンは動くには動きますが、何をやるにも時間がかかりWeb閲覧さえままならない、挙句の果てにすぐに故障して修理の手配などで時間を奪われるなどの事態に見舞われます。OSだけで1.6万円ですから3万円のパソコンって、、、
また、将来的にOSがバージョンアップしたり、Webのコンテンツがどんどんリッチになり処理が重くなったりしますが、これくらいのスペックであれば数年は快適な動作を維持でき、買い替えのサイクルを伸ばせます。
いかがでしたか?
今まで以上にパソコンに興味を持っていただけたでしょうか?
社長もPC関連は人任せではいけません。経理などと同じくらい重要な部分です。
最低限のハードウェアの知識とソフトウェアの知識は身に付けておいても損はないのではないでしょうか。
実はこの記事を書くきっかけになった本がありまして、「会社のITはエンジニアに任せるな!」という本です。
内容は、企業において業務の根幹となる大規模なITシステムを構築するときの話で、経営陣などが「よくわからない」からとエンジニアに任せ、トラブルが多発している。だからエンジニアやシステム屋に任せるのではなく経営陣ももっと真剣に話に参加しないとダメだ、というようなことでありまして、これって次元がだいぶ違うけど中小企業にもあてはまる部分があるな、と思った次第です。
ご興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。
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